鹿苑寺かおるこ、その青春。(ワガママハイスペック かおるこルート感想 前編)

6/6 日曜日>文化祭当日

桜翠学園文化祭スタート!(選択肢入り:2つ)

生徒会の喫茶店は予想よりも早い客足の伸びにより、開店直後から満席になっていた。雅人やサルに虎太郎達も店に訪れて、目玉商品のパンケーキの美味しさに舌鼓を打つ。暫くして、休憩に入る事が出来た幸樹が合流した相手は・・・。

プールだっ!水着だっ!学園祭だあっ!!!(ワガママハイスペック 共通ルート感想 その3)-或訓練された信者の一生より引用

揺れるコーヒーカップ
幸樹とかおるこが文化祭の人混みから逃げるように入った教室では、遊園地にあるようなコーヒーカップが置かれていた。カップの1つに座り休憩していた2人だが、それが予想に反して勢いよく回転し始めた事により、幸樹はリバースの危機に陥る。

文化祭、お疲れさまでした!

生徒会による喫茶店は大盛況で予定より早い店仕舞いとなった。後片付けが終わると、今度は後夜祭でのイベントが始まろうとしていた。

かつて夢破れた少女は、恋を知り再び才能を爆発させる!!!(ワガママハイスペック アーシェルート感想 前編)-或訓練された信者の一生より引用

永久不滅のコンビ
校庭でのフォークダンスで、前年のように女子生徒達にダンスを誘われるかおるこ。直前に彼女がフォークダンスに気後れしているという事情を聞いていた幸樹は、一芝居を打つ。

6/17 木曜日

ニセ彼氏こーくん
放課後、編集部でのかおるこの打ち合わせについていくことになった幸樹は、新城駅で待ち合わせしていた。その時、後ろから目隠しをされた彼は、それがかおるこによるものだと気付く。来る途中でナンパしてきた男がついてきているという彼女の話により、2人は一時的にカップルのふりをしてやり過ごそうとする。

しかくん誕生秘話
編集部で幸樹とかおるこに鷹司さん、3人による初顔合わせが始まった。其処で幸樹は、かおるこがいもさらだに巡りあったきっかけや、彼女がイラストレーターをするようになった理由を知る。

7/2 金曜日

即興ツンデレ劇場
期末テストが近づく中、アーシェが幸樹に現国の勝負を挑んでくる。普通に断っても意味が無いのを理解している彼はかおるこを利用して、話を有耶無耶にしようと画策する。

7/5 月曜日

どうして胸が苦しいの?
結局、アーシェからの勝負を受ける事にした幸樹は、前日のテンプレ劇場がまだ尾を引いている彼女の為にかおるこも混ぜて3人でテスト勉強をする。そして、彼等の様子を見ていたかおるこの心境に変化が現れ始めて・・・。

7/6 火曜日

ご褒美はだぁれ?
勝負で買った方がかおることデートする権利を得るという話になり、俄然やる気を見せるアーシェ。一方、かおるこはまだ幸樹がアーシェを狙っているという誤解をしていた。

7/7 水曜日

だって青春ぽくない?
学校終わりに幸樹は、帰ろうとした矢先に珍しく挙動不審な動きを見せるかおるこを見つける。彼女に気付かれないように後をつけた幸樹が辿り着いた場所は、なんとプールだった。

これまでワガママハイスペックの本編において、幸樹とその彼女達に様々な助言やアドバイスを与えてきた鹿苑寺かおるこ。上級生らしく周りを引っ張ってきた彼女が愈々主役となるかおるこルートは、メインヒロインの中で1番長い尺でもって描かれている。よってかおるこの話に関しては、当ブログでも合計3本の記事として扱う。

桜翠学園ではうら若き生徒会長として男女共に人気のあるかおるこだが、その一方で人気イラストレーターとして漫画「デレデレスクランブル」の作画も努めている。傍から見れば才色兼備で非の打ち所がない女の子に見えるが、個別ルートでは少しずつ彼女のパーソナルな部分が明らかになっていく。

かおるこがイラストレーターになったのは、実はいもさらだ名義で小説を投稿していた幸樹の作品に出会ったからである。元々厳格な良家の子女であった彼女は、その古風な家柄故に大好きな漫画やアニメといった世俗的な趣味を楽しむ事を禁じられていた。そして、密かに集めていたそれらのグッズを捨てられた時に、かおるこの心には深い悲しみと絶望が襲った。

そんな状態のかおるこを救ったのが幸樹の作品だった。もう笑えないと思っていた彼女に笑顔を思い出させてくれた。そして、かおるこはいもさらだのように今度は自分の絵を投稿し始める。いつか同じ場所で創作出来る事を信じながら、である。

筆者のように人がコンテンツを楽しんでいるのは、先のかおるこの過去にも通ずるようにそれらが我々に生きる希望や活力を与えてくれるからである。良質なコンテンツというのは、時に受け手に多大な影響を及ぼすものである。それこそ、彼女にイラストレーターの道を決定づけるといったその後の人生を左右する事もある。何もフィクションに限った話ではない。

幸樹は間接的にであれかおるこを救っていた訳であり、彼女がいもさらだに心惹かれるのも当然の帰結である。その熱量は当の本人である幸樹や鷹司さんをたじろかせてしまうほどだが、それだけかおるこにとっていもさらだの存在は強いものだったのだろう。そして、その想いは実際に幸樹に出会い同じ時間を過ごす機会が増える毎に、本人も自覚が無いまま特別なものに変わっていく。

恐らく多くの生徒達はかおるこについて表面的な部分しか知らない。しかし、幸樹だけは彼女自身のもと深い一面を知る事が出来る立場である。実は派手なアトラクションが好きだったり、子供の時に既にやったような手遊びに興味津々だったりと意外と子供っぽい一面がある彼女だが、そういう部分を曝け出せるのは彼がそれに値する人間だからである。素の自分を出せる人や場所があるというのは、それだけで幸せな事だと思う。

自他共に天然なかおるこだが、そんな彼女でも幸樹に対する恋心を次第に意識するようになってくる。幸樹がアーシェを好きだという勘違いをする一方で、その事を受け入れたくないという気持ちが表れているのが、「どうして胸が苦しいの?」や「ご褒美はだぁれ?」で窺える。そして、最初はテスト勝負に乗り気でなかった幸樹も、勝ったらかおることデート出来るというご褒美によりやる気が出てきたようである。2人を結ぶ縁が、更にもう1本増えようとしていた。


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