モテパワーマックスな吸血鬼達が登場!!!「よふかしのうた」読んでみた!!!

第19夜:俺が誰かの助けに (初出:週刊少年サンデー2020年6号)
ナズナを探しながら今日も夜の徘徊をするコウは、ナンパ待ちをしている女子高生らしき女と出会う。怪しい雰囲気を漂わせる彼女は何故かコウの名前を知っていて・・・。

第20夜:眷属作り (初出:週刊少年サンデー2020年7号)
コウに近づいた女、桔梗セリは吸血鬼だった。彼女からコウを守ろうとするナズナだったが、隙を突かれて彼を誘拐されてしまう。

第21夜:恋愛学一生赤点みたいなやつ (初出:週刊少年サンデー2020年8号)
吸血鬼の美女達が集まる場所に連れてこられたコウは、彼女達の誘惑に晒される。しかし、あくまでナズナ一筋を貫く彼を前に彼女達は度肝を抜かれる。

第22夜:かんぱ~い (初出:週刊少年サンデー2020年9号)
コウを連れて帰ろうとするナズナだが、ニコ達はどうしても納得が出来ない。其処で彼が助け舟を出して話は円満に纏まったものの、コウの吸血鬼化にはある条件が伴う事が明らかになる。

第23夜:どいつもこいつも (初出:週刊少年サンデー2020年10号)
コウから彼が1年以内に吸血鬼にならなければならない話を聞いた帰り道で、アキラは階段の踊り場で寝ていたマヒルを見つける。彼もまた最近「夜ふかし」にはまっていて・・・。

第24夜:恋愛マスター吸血鬼 (初出:週刊少年サンデー2020年11号)
コウはセリから指南されたデートプランを使い、ナズナを誘う。しかし、それは逆に彼女の機嫌を損ない、デートは失敗に終わったかに見えたが・・・。

第25夜:お盛んなこって (初出:週刊少年サンデー2020年12号)
屋台並ぶ人混みの中で、ナズナとはぐれてしまったコウはマヒルと再会する。

第26夜:ハーレムものってあるじゃないですか (初出:週刊少年サンデー2020年13号)
高架下でスマートフォンを操作するセリは、自分に群がる男達からのメッセージに辟易していた。そんな時、彼女は近くに居たコウを見つけて・・・。

第27夜:あなたはセリさんのなんなの? (初出:週刊少年サンデー2020年14号)
扉の向こうからコウとセリが居る部屋を覗くのは、彼女に想いを寄せるあまりメンヘラ化した男だった。相手をするのが面倒だという理由で、セリはその男を殺そうとするが、コウは彼を連れて一緒に逃げる。

第28夜:恋は盲目という言葉がある (初出:週刊少年サンデー2020年15号)
メンヘラさんはその時付き合っていた彼女にフラれた直後に、セリと出会った。コウは彼から話を聞き解決の糸口を見出そうとするが、再び殺意を漲らせた彼女に見つかってしまう。

第29夜:ずるい (初出:週刊少年サンデー2020年16号)
セリとメンヘラさんはかつて友達だった事が明らかになる。そして、コウは今迄のやり取りからセリの方がメンヘラだと彼女に指摘した上で、もう一度メンヘラさんと友達ととして話す事を勧める。

「よふかしのうた」第3巻は、これまでの比較的ゆったりした展開とは大きく異なる流れを見せ始めた。ナズナ以外の吸血鬼達の登場や、「初めて血を吸われた日から1年以内に吸血鬼になれなければ永遠にその資格を失う」という制約により、コウのこれからに多大な影響を及ぼす可能性を秘めている。

今回、ナズナの他に少なくとも6人の吸血鬼が居る事が判明し、全員の名前が春の七草に関連していると思われる。そして、ナズナの黒で統一された奇抜な服装に対して、他の6人達は寧ろ一般人に溶け込めるぐらいに普通の格好である。

本編でナズナは他の吸血鬼と比べて変わっているという言及がされているが、彼女の特異性が際立つように容姿においても、その差別化の工夫がされていると思われる。ちなみに、筆者がナズナ以外で好きな吸血鬼を選ぶとすれば、それはセリである。

ナズナとキク以外の吸血鬼達は集団意識が割と強く、本来の吸血鬼としての行動から逸脱している可能性のあるナズナを牽制しようとしたり、吸血鬼をよく知っている人間としてコウを危険視する等、吸血鬼の社会を維持する事に重きを置いているのが窺える。

その一方で、自分が誰よりも1番人間にモテるという自信を持っており、其処に関しては例え同じ吸血鬼同士であっても譲れないプライドが、彼女達にはあるようである。事実、コウがその場の吸血鬼達よりナズナを選んだのは、吸血鬼である彼女達にとってショックだったらしい。

第26~29夜では、新たに登場した吸血鬼達の1人である桔梗セリを焦点に描かれている。コウがナズナ以外で出会った最初の吸血鬼であり、女子高生を装った容姿とスマートフォンを活用して人間の男達を惹きつけるのが、彼女のやり方である。そして、自らを恋愛マスター吸血鬼と称する一方で、恋愛が必ず絡んでしまう自身と人間の男達との関係に飽きや退屈を感じてしまうという、セリの悩みが明らかになる。

セリの考え方や行動は基本的に吸血鬼寄りであり、必要に迫られば人間に手をかける事も辞さない。しかし、メンヘラさんによる恋愛の話に共感を覚えたりと、一部ではあるが人間の考えに同調出来る素直さも彼女は持っている。だが、なまじ吸血鬼というプライドがあるからこそ、自分の悩みを他者に言えずにいた結果、自身もメンヘラ化してしまったのかもしれない。そういう意味では、セリとメンヘラさんはお似合いのカップルなのだろう。

友達という関係を欲していたセリにとって、コウはその時それにもっとも近い人間だった。彼は既にナズナを好きになる事を公言しており、自分を好きになる可能性が無かったからである。彼女からするとコウはある意味で、都合の良い遊び相手ではある。だが、セリがコウをカラオケに誘ったのは実の所、自分が悩んでいるのを察している彼の前で素直になりたかったから、なのかもしれない。

ちなみにナズナがセリを一方的に嫌っているのは、恐らく彼女の恋愛が苦手な性分によるものだと思っている。吸血鬼達の中で1番恋愛というものを体言してそうなセリは、ナズナからすると存在自体が我慢ならないのだろう。

吸血鬼側が賑わいを見せる一方で、人間側の登場人物もまた増え始めていた。コウの友達であるマヒルは、周りからの人望が厚くまさに華やかな人間である。彼もまた夜ふかしにはまっていて、とある女性と会っているらしいのだが、その正体が実は吸血鬼・・・という示唆が劇中で為されている。第25夜において、ナズナはコウとはぐれている最中に「彼女」を見つける。後にナズナがコウと手を繋いだのは、単に彼とはぐれないようにする為以外の理由があったのかもしれない。

第28夜を載せている週刊少年サンデー2020年15号ではドラえもん50周年企画の一環として、誌面上の連載漫画の何処かのコマにドラえもんを登場させるというサプライズを行っている。本作における第28夜の中にドラえもんが居るので、まだ知らない人は是非探してみて欲しい。

「ドラえもん」サンデーの連載18作にシークレットで登場、45年前の短編も再掲載
本日3月11日発売の週刊少年サンデー15号(小学館)では、連載中の18作品にドラえもんが登場している。

残り1年という猶予の中で、果たしてコウはナズナを好きになる事が出来るのか。人間と吸血鬼の思いを包み込んで、夜は益々更けていく。

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