書を捨てよ、夜ふかしに出よ!「よふかしのうた」読んでみた!!!

第9夜:なんのつもりだ七草ナズナ (初出:週刊少年サンデー2019年46号)
前回のナズナからのキスが忘れられないコウは、自分が彼女をついに好きになったと考える。念願の吸血鬼になれると気持ちのはやる彼は、自分からナズナに血を吸うように誘いかけて・・・。

第10夜:せまくない? (初出:週刊少年サンデー2019年47号)
深夜にコウと会ったアキラは共にナズナの家に行く事になり、3人でゲームを楽しむ形になる。その後、1つの布団に3人が並んで寝る運びになるが、それに反対のアキラは帰ろうとするも外は雨が降っていた。

第11夜:需要と供給 (初出:週刊少年サンデー2019年48号)
布団の上で会話を交わすアキラとコウ。彼女は、コウが普段している夜ふかしや彼がそれを本当に楽しんでいることを知る。

第12夜:そりゃ困ったやつですね (初出:週刊少年サンデー2019年49号)
夕方、いつもより早く目覚めたナズナは、ゲームをしたり不在票にキレたりしながらも、夜を迎えてゆく。

第13夜:休憩できるお店 (初出:週刊少年サンデー2019年50号)
風呂上りのナズナにドキドキするコウは、自分の気持ちを整理する為にわざと彼女に血を吸わせる。しかし、そんな思考もナズナにはお見通しで・・・。

第14夜:天才陽キャかな? (初出:週刊少年サンデー2019年51号)
今回はコウの提案で、ナイトプールで夜ふかしをする2人。水着姿のナズナはやはり周りの目を引くほど目立つが、そんな彼女の前に3人組の男がナンパを仕掛けてくる。

第15夜:ここが労宮というツボです (初出:週刊少年サンデー2019年52号)
コウはナズナが添い寝屋という商売をしているのを知る。実際にマッサージしてもらいながら、ナズナに血を吸われそうになった所で客が来てしまう。

第16夜:会社の飲み会 これが良くない (初出:週刊少年サンデー2020年1号)
以前受けたナズナのマッサージを気に入り、再びやってきた客のキヨスミ。一方で、コウはナズナの代わりに彼女をマッサージすることに。

第17夜:あんたにはよふかしをしてもらう (初出:週刊少年サンデー2020年2・3号)
コウはキヨスミをマッサージしながら、自分のことや夜ふかしの楽しさを語る。しかし、マッサージの途中で彼女は仕事を理由に店を出ようとするが、コウはそれを阻止しようとする。

第18夜:楽しい方がいいよ (初出:週刊少年サンデー2020年4・5号)
コウの「吸血鬼になりたい」という話を理解しながらも、仕事に行かざるを得ないキヨスミに対し、彼はある提案をする。

この巻では、コウがナズナにドキドキしてしまう場面が、多々描かれている。それも彼女が普段と違う格好や髪形をしている時である。確かに、いつも近くに居る人間がふといつもと違う装いで見かけると、こちらの心がざわついてしまうものである。それが異性となれば猶更である。普段、制服姿しか知らない女子の私服を見てしまった時の、あの感覚を思い出してしまう。

筆者は、ナズナの髪形はストレートの方がいいと思った。いつもがあの奇抜な三つ編みだから、余計そう感じてしまうのかもしれない。

また、ナイトプールでわざとナンパされるフリをして、コウを試そうとするナズナとそれに反応する彼のやり取りが面白かった。俗にあれを「嫉妬」と言うのだけれど、それを指摘せずにいてくれる所に彼女の年上らしさを感じる。でも、あそこに変に逃げず、ナズナの手を引っ張っていく所は、コウの男らしさが出ていたと思う。

後半の第15~18夜は、実質1つの話として捉えてもいいと思う。この話の感想からは脱線するが、キヨスミさんの話に出てきた「深夜の上司からの呼び出し」というのは、本当のフィクションなのかそれとも実話も多少は混じっているのか、気になる所ではある。わざわざ彼女の職業を出版業と設定しているのも、筆者の興味を強める要因となっている。

「どうせまともじゃないなら楽しい方がいい」とはよく言ったものである。今の世の中では、朝起きて夜眠るということを普通にすることが、ある種の特権になってきている。そういう当たり前の生活リズムの上にこそ、「夜ふかし」というものは楽しさが増すのだが、夜に活動する事がある種当たり前になってしまうと、其処から楽しみといったものが零れて落ちてしまうものである。

キヨスミさんはある意味で、現実の我々でありナズナに出会わなかった未来のコウなのかもしれない。残念ながら「此処」に吸血鬼は居ないけれど、夜ふかしを楽しめる心の持ちようをちょっとぐらいは、忘れないようにしたいものである。

第13夜で、ナズナは吸血でその人間の気持ちを分かることが明らかになる。筆者の予想だが恐らく、ナズナにとって美味しい血を持っている人間というのは、心にある感情が豊穣な者である。そして、コウは成長期真っ只中の10代の少年であり、良くも悪くも内に多感な気持ちを秘めているから、ナズナと相性がいいのではないだろうか。

いずれにせよ、コウはナズナと共に夜ふかしをする事で、自分の中にある様々な感情を知ることになるのだろう。それが最終的にコウをどのように変えるのか。それは兎も角、今は彼等と共に素直に夜ふかしを楽しむことが、1番良いことではないだろうか。

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