人間と吸血鬼、夜を脅かすのは・・・。「よふかしのうた」読んでみた!!!

第50夜:始まりは花だった (初出:週刊少年サンデー2020年43号)
キクと一緒になる為には吸血鬼にならなければならない。その事について考えていたマヒルは、初めて彼女に会った時のことを思い出す。

第51夜:俺の東京に関する思い出 (初出:週刊少年サンデー2020年44号)
吸血鬼になると決意したマヒルに比べて、些か遅れをとっているように感じたコウは彼に嫉妬していた。一方、ナズナは1年ルールを攻略する為にコウと一緒に東京に向かう。

第52夜:それは僕らの時間じゃない (初出:週刊少年サンデー2020年45号)
東京にて恋愛をしている人々を観察するコウとナズナ。恋愛のなんたるかを議論しながら2人は、夜の動物園に辿り着く。

第53夜:聞きてェー…中学生の恋バナ… (初出:週刊少年サンデー2020年46号)
ニコ達の夜の集いに招かれたコウは、其処でナズナとの関係の進展について根掘り葉掘り聞かれる。

第54夜:会いたかったよ (初出:週刊少年サンデー2020年47号)
まだマヒルが一度も血を吸われていない事を知ったコウは、相談相手としてあっくんとハツカを呼び出す。ハツカの提案により、一同は銭湯で裸の付き合いをする事になるが・・・。

第55夜:ほんとにそれなんだ (初出:週刊少年サンデー2020年48号)
4人の元に現れたアンコは尋問がてら、あっくんに襲いかかる。セリの介入もあり彼女は引き下がったものの、吸血鬼には弱点がある事が浮き彫りになる。

第56夜:覚えてるよ (初出:週刊少年サンデー2020年49号)
ナズナの家であっくんが回復するまで、今後の事について話し合うコウ達。アンコの襲撃により、吸血鬼は自分達の弱点を守る必要性が生じていた。

第57夜:おばけ屋敷にはおばけいない (初出:週刊少年サンデー2020年51号)
ナズナを守る為に彼女の人間時代を知ろうとするコウだが、当の本人のその頃の記憶が全く無かった。しかし、彼女の部屋にあった診察券を頼りに、2人はとある病院を訪れる。

第58夜:条件ってこれ? (初出:週刊少年サンデー2020年52号)
その病院で働いているらしいカブラは、ナズナが持っている診察券について聞かれても白を切る。それを怪しいと踏んだコウは病院内を調べるが・・・。

第59夜:みんな嘘つきねぇ (初出:週刊少年サンデー2021年1号)
病院内の探索中、コウはナズナとカブラのいくつかの言動からある推測を立てつつあった。そして、彼はトイレでカブラに拉致されてしまう。

コウとナズナを中心に置きつつも、人間と吸血鬼の群像劇としての様相を呈してきた「よふかしのうた」。其処に不穏な動きをする鶯アンコと星見キクが登場してきた事で、第6巻ではより先の気になる展開を巡らせている。

第51~52夜は暫くぶりにコウとナズナの2人による話のお陰か、第1巻から第2巻の中盤辺りのような初期の雰囲気を久々に感じさせるものになっていたと思う。特別大きな展開がある訳ではないが、夜の街を歩く彼等も最初の頃に比べると随分馴染み深いものになっている。お互いの関係を進めるという選択をした今だからこそ、そのやり取りも距離の縮まった対等な感じである。

第53夜は女子会、逆に第54夜は男子会のような対比として描かれているようである。初めてコウが、ニコ達が集まる場所に連れてこられた時よりも和やかに迎えられるようになったのは、吸血鬼達との信頼関係が出来てきた事の証と言えるだろう。第54夜のように複数の男性キャラだけで殆ど回す話は珍しいきらいがある。

第54夜のラストから再び登場した鶯アンコ、彼女の吸血鬼に対する憎しみは生半可なものではない。吸血鬼になったばかりであるあっくんにナイフを何度も突き刺す凶行さから見ても、その狂気が見て取れる。だが、それでいて自分が劣勢になると分かるとあっさり引き下がれる冷静さを持ち合わせている所がアンコの手強そうな部分である。

しかし、彼女の登場によって本編に存在する吸血鬼に関する新たな情報がもたらされる。吸血鬼にも弱点があり、人間時代の思い入れのある私物が彼等を弱体化させてしまう、というものである。その事実は吸血鬼達に多大な緊張感を生ませ、同時にナズナの過去に迫るきっかけとなる。

此処迄の流れを軽く振り返ってみると、大分ストーリーの方に比重を置くようになってきたように思う。第1巻と第2巻は前作の「だがしかし」のような1話完結の話が中心だった。しかし、内容や方向性は前作のようにコメディに振り切ってはおらず、個々の話のインパクトも弱めのものになっていた。本編の序盤としてはそれでも良かったのかもしれないが、その調子が長引いていたら今ほどの面白さを感じていたか甚だ疑問である。

これから物語の焦点になるのはナズナの過去だけではない。それを調べる過程で登場したカブラもまた、どのような吸血鬼なのかも語られるようである。ニコに次ぐ年長の吸血鬼でありながら、彼女とは対照的なミステリアスな雰囲気を身にまとうカブラが、ナズナの過去にどのように関わっているのか。その答えは、第7巻で明らかになりそうである。

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