志乃ちゃんと二人で暮らしたい、その言葉が彼女を1人にさせなかった。「兄の嫁と暮らしています。」読んでみた!!!

Diary. 11 (初出:ヤングガンガン2016年No.13)
大志が亡くなってから四十九日後の志乃の回想である。

Diary. 12 (初出:ヤングガンガン2016年No.15)
一緒に帰る前に、忘れ物を取りに部室に寄ろうとするみなとについていった志乃は、其処で1年後輩の小泉に出会う。

Diary. 13 (初出:ヤングガンガン2016年No.16)
志乃と希は家で飼う事にした捨て猫の名前を決めようとするが、その途中でゴキブリ退治をする羽目になってしまう。

Diary. 14 (初出:ヤングガンガン2016年No.17)
料理をしている希は志乃に出し巻きタマゴの作り方を披露した後、思わず「母親」というワードを出してしまった事を内心気にしていた。

Diary. 15 (初出:ヤングガンガン2016年No.18)
志乃はまだ希に三者面談の日程を伝えておらず、その話を切り出すタイミングを見失っていた。一方、希は雨で帰れない所を高校時代の恩師である目時先生に拾われる。

Diary. 16 (初出:ヤングガンガン2016年No.20)
希との進路相談を終えた志乃だったが、彼女の心中はモヤモヤしていた。それを感じ取った希は、志乃を校内のとある場所に連れていく。

Diary. 17 (初出:ヤングガンガン2016年No.21)
買い物帰り、志乃はその道中で希の教え子である梨奈を見つける。梨奈と一緒に家の鍵を探す事にした志乃は、後に彼女が小泉の妹であるのを知る。

Diary. 18 (初出:ヤングガンガン2016年No.22)
寝坊した志乃が遅めの食事を取ろうとした時、突然彼女の家に翔太郎と彼の姉である律子が押しかけてくる。

Diary. 19 (初出:ヤングガンガン2016年No.24)
みなとや翔太郎と夏祭りに行く許可を貰った志乃だったが、その時に、希から浴衣を着て欲しいと頼まれる。一度は断る志乃だったものの、彼女の押しに負けてしまう。

Diary. 20 (初出:ヤングガンガン2017年No.1)
夏祭り当日、浴衣を着てきた志乃は2人からの反応に気恥ずかしさを覚えつつも、まんざらでもない様子を見せる。そして、人混みの中で希を見つけた志乃は、彼女の傍らに自分の知らない男性が居るのに気づいて・・・。

兄の嫁と友人
兄の嫁の回想
兄の嫁とスキンシップ
兄の嫁と眼鏡。

単行本2巻の描き下ろしショートである。

共通の大事な人を喪った志乃と希の物語、「兄の嫁と暮らしています。」第2巻では彼女達の日常に加えて、2人を取り巻く人間関係や大志が関わった過去や思い出が、少しずつ明らかになっていく。大志が亡くなった事を悲しむのは志乃や希だけではなく、残された彼女達を陰ながら見守る人達が居る。

志乃にはみなとに翔太郎という2人の幼馴染達と仲が良く、彼等もまた大志と親交があったようである。そして、希には高校時代から付き合いのある律子という友人が居る。

みなとはバレー部の主力として活躍する実力を持つ女子であり、かつては志乃も彼女と一緒にバレーをしていたようである。高身長ながら出るところが出ていて容姿も良く、体育会系らしいさっぱりとした性格をしている。「Diary. 12」によれば、みなとの母親であるみさこは志乃を養子にする事を本気で考えるほど、彼女を心配していたようである。

一方で、翔太郎は見た目こそ悪くはないものの、漫画やゲームにどっぷり浸かっている今時のオタク気質を地で行くような残念系男子である。同じ帰宅部である志乃と一緒に帰る事が多く、過去には大志ともよく遊んでいたらしい。

翔太郎の姉である律子は、大志と幼馴染の関係であり、希とも友人として付き合っている。誰にも縛られようとしない自由奔放を体現したような性格である彼女は、人として落ち着きがないとよく希から説教されるようである。しかし、大志と希をカップルとして結んだのは何を隠そう律子であり、其処に関しては希も頭が上がらないらしい。ちなみに学業は希より優秀であり、律子が初登場した「Diary. 18」より前までは、アメリカで仕事をしていた。

他にも志乃と希をよく知る人物として、高校教師の目時先生が居る。現在では志乃のクラスの地理担当だが、大志が存命していた頃は3年間彼の担任をしていた経緯がある。希の事もよく知っていて、今でも彼女の事を旧姓の小西呼びしている。「Diary. 16」では、2人の性格が段々大志に似てきていると、彼は心中で吐露している。

一緒に生活するようになったとは言え、元々血の繋がりの無い赤の他人に近かった志乃と希は、どうしても素直になれない気持ちや思いを抱えているのが、少しずつ分かってくる。そして、その事を本人達以上に周りの人々が、意外と分かっているものである。しかし、それを時に受け入れつつも、どうしても全てを変えられず先延ばしにしてしまう2人の様子が、もどかしくいじらしいのである。

しかし、生きている人間の時間はどうしたって進んでしまう。自分と一緒に住むようになってから、希が他の男性と一緒に居るのを見た事がないと、「Diary. 20」で気付いた志乃はその事に激しく動揺してしまう。自分が希の人生や生き方を束縛してしまって本当にいいのだろうか、それは10代の今を生きる志乃にとって、どうしようもなくのしかかる「1つの現実」だった。

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