7/5 月曜日
美少女×ホラー映画=??
ホラー映画の余韻が残っていた幸樹を驚かせようと、彼のベッドに忍び込んできた兎亜。2人はお互いの恐怖を紛らせるという体で、そのまま交わりを始める。
7/7 水曜日
7/8 木曜日
7/12 月曜日
『デレスク』がついに……?
鷹司さんからデレスクのドラマCDや楓のスピンアウト作品の制作を提案され、幸喜はその作業に忙殺されかかっていた。しかもその時期はテスト期間と重なっていて・・・。
7/23 金曜日
もっとわたしを頼ってよ
赤点だらけの期末テストの成績を残してしまった幸樹は、自分が周りの人間にかけた迷惑の大きさを考え落ち込んでしまう。そんな彼を兎亜は陰ながら心配していた。
7/31 土曜日
数日後
わたしはきっと、可愛い『だけ』
連日の補習や追試を乗り越え、いつも通り兎亜から頼まれた買い物を終えた帰り道、突然幸樹は過労で倒れてしまう。入院生活を終えても彼の体調は完全に回復した訳ではなく、兎亜による療養生活を送る事になる。
8/13 金曜日
大切なもの
デレスク休載の間、代わりに載せられていた漫画を読んだ幸樹は、このままでは連載を打ち切られる不安を覚える。彼は兎亜に無理して仕事をするなと改めて念を押されたが・・・。
8/16 月曜日
兎亜の葛藤
幸樹が退院してから、初めて会った鷹司さんから言われたのはデレスクの月刊誌移籍の願いだった。色んな感情が渦巻く中で、それでも彼は漫画のプロット作りをしようとする。
8/20 金曜日
ワガママの重み
兎亜は1人で学園に赴き、生徒会メンバーに今の自分には兄を助けれられないという思いを吐露する。一方、幸樹は昔のネタ帳を引っ張り出し自らの創作の原点を思い出そうとしていた。
8/23 月曜日
手紙
幸樹とかおるこ、それに鷹司さん含めた3人が打ち合わせを始めようとしていた。デレスクの今後を左右する場で、彼は自分の正直な気持ちを伝える。幸樹の話を聞いた上で、鷹司さんは彼に一通のファンレターを読むように促す。
描きたいもの、届けたいひと
再び漫画を創る熱意を取り戻した幸樹は、一目散に我が家へと帰る。そして、いつも傍にいた大事な人、兎亜を抱きしめて溢れんばかりの想いを伝える。
8/25 水曜日
俺だけの“妹萌え”
復帰してからのデレスクのプロットもOKを貰い、完全に調子を取り戻した幸樹。そして、彼は兎亜が今迄と変わらないように見えながらも、少しずつ成長している事を兄として恋人として実感し始めていた。
9月某日
モーニングえっちはほどほどに☆
珍しく早起きして制服に着替えを済ませた兎亜は、傍らでまだ寝ている幸樹にどんな悪戯をしてやろうか思案する。そして、兎亜は彼のベッドに潜り込んで・・・。
おまけ
幸樹不在で生徒会メンバーが作業している中、兎亜の機嫌は斜めになっていた。その頃、彼は委員長と一緒にサルが誤って割ってしまった窓ガラスの片付けをしていた。途中で委員長のおっぱいを間違って触ってしまった所を兎亜に見られてしまった幸樹は、他に誰も居ない生徒会室で彼女からお仕置きを受ける事になる。
兎亜ルート後半では、幸樹が赤点を取ってしまったりデレスクの休載等、波乱の展開が続く。前半とは打って変わり深刻な状況が続く中、幸樹と兎亜の恋模様も複雑な様相を呈していく。
「『デレスク』がついに……?」では、鷹司さんの口から今後のデレスクのメディアミックスに関する話が出てくる。デレスクが此処迄作品としての拡がりを見せるようになったのは、兎亜ルートのみである。編集部にやってきた幸樹とかおるこの言う通り、彼等の扱いを急に丁寧なものに変えた編集長達やいつもより幾分穏やかな鷹司さんの態度から分かる通り、出版社が作者である2人に大きな期待を寄せているのは明白である。
此処で個人的に面白いと思ったのが、幸樹がその時の編集部の雰囲気に対して「生ぬるい空気」という言葉を使った事である。生ぬるいという言葉が使われる状況には、全てが善いものとしてとは限らない場合がある。例えば、本来なら雑念を払い集中して取り組まなければならないのに、その雰囲気がまるでなく寧ろ怠惰な様子を伺わせている時に、敢えて「生ぬるい」というフレーズを使う事がある。もし、その状況が続けばいずれ何かしら悪い事が起きるかもしれないのを防ぐ為に、「生ぬるい」と評してそれを断じようとするのである。
幸樹が「和やか」とか「穏やか」などもっと肯定的な言葉を使わず、敢えて「生ぬるい空気」という言い回しをしたのは、何となくこれから良くない事が起きる前触れのようなものを感じていたのかもしれない。更に言うならば、これは本編をプレイしている我々に向けての、これからの展開を暗示させる伏線とも取れる。
そして、ドラマCDの脚本やスピンオフのプロット作りに追われた幸樹は、碌に勉強出来ず期末テストで赤点を取ってしまう。更に今迄の過労が積み重なったせいで、兎亜に頼まれた買い物帰りに彼は倒れてしまうのである。恐らく4つの個別ルートの中では、一番ヘビーな目に遭っていると思われる。
初回で兎亜ルートをプレイし終えた時は、まだストーリーが自分の中にしっくりくる事は無かった。しかし、何度目かの繰り返しでようやく筆者は、本当の意味で今回の話を好きになった気がするのである。それは多分、筆者がこうしてブログをやるようになって、幸樹の立場により共感しやすくなったからだと思っている。
度重なるアクシデントのせいでデレスクが休載になってしまい、その枠を一時的とは言え他の漫画に取られたのを知った時、幸樹は漫画作りに携わる自信を見失ってしまう。彼がいる世界でもやはり競争は存在する、それも結果が確実にクリエイターの生死を分けるまさしくプロの世界である。幸樹がデレスクの作者として雑誌連載に関わるその裏で、その何十倍もの漫画家達が辛苦を味わっているのである。彼はその事を改めて自覚しなければいけなくなった。
自分の描きたいというワガママだけではもうやっていけない、そう考えた幸樹は鷹司さんに自信を失っている旨を告げる。しかし、彼女は敢えて彼に描くことを辞めるなと言い、例の手紙を渡す。彼は自分の作った漫画にはそれを楽しんでくれているファンが居る事を思い出す。
実際の所、プロというものが何たるかである事を今の筆者に語る資格は無い。しかし、それを望んでいる人が居て、自分の中にやり遂げたいという気持ちがあるのなら、続けなければもったいない事なのだと思う。筆者自身もプログをやる事が好きになっていて、こうして続けていられているのは自分がそれをやりたいという気持ちが、確かに存在しているからなのだろう。
この話は兎亜がメインではあるが同時に、実は幸樹自身の話という裏テーマ的なものも含まれている。何かを続けていてそれに大なり小なり誇りを持っている人なら、特に今回のストーリーにおける幸樹の心情には共感出来るものが必ずあると思う。
そして、漫画を描く自信を失った幸樹を救うのはやはり、彼の妹であり恋人である兎亜である。兎亜ルートの後半では、漫画を続けるべきか迷う彼を上手く助けれられず迷う彼女の姿が印象的である。特に「ワガママの重み」では余裕でマイペースな態度は崩れ、時にかおるこにも強く出てしまうと言った余裕のない切羽詰まった兎亜が見られる。
兎亜は自分の為に家を出た幸樹に対して、彼を好きな気持ちと同時に負い目も感じていた。今迄はなんとなくやり過ごせていたその気持ちも、幸樹の恋人になり彼がスランプに陥った時に表面化する事になる。それでも妹として恋人として自分に出来ること、その答えを彼女は見つけ出す。
普段はPCやゲームといった電子機器を使っているイメージの強い兎亜だが、ここぞとばかりにアナログ色の強い手紙で幸樹を助けようとするのがミソである。実際の所は明らかにされていないが、個人的には前もって彼女は鷹司さんにコンタクトを取り、例の手紙を匿名のファンレターとして彼に渡すよう口裏を合わせて貰ったと思っている。
兄妹としても恋人としても仲をより深める事が出来た幸樹と兎亜。彼等ならどんな困難にも負けず2人で共に生きていく事が出来る筈である。