コンテンツを楽しむと言ってもそのスタイルは人それぞれである。筆者の場合、気に入った作り手による作品を最初から最新にかけて網羅していく楽しみ方をしている。これが上手くハマると、その作品群の質や傾向が変遷していく様を感じられるのが良いのである。
だから必然と、ある程度長く活動している作り手達を追いかけるようになってくる。新進気鋭のクリエイターに注目するより、そちらの方が筆者としては性に合っているのだろう。
筆者があるコンテンツを選ぶ上で大事にしている事の1つは、その作品の作り手がどれだけ継続的に活動しているかである。継続的に作品を出すというのは、意外と難しい事である。それが出来るだけでも筆者にとっては、応援したくなる指標の1つになる。
「HUNTER×HUNTER」という作品がある。世間的に面白い漫画として一定の評価を受けているのは、筆者もよく知っている。しかし、これを読む気にはならないしこれからも読もうとは思わない。何故なら、この漫画の作者である冨樫義博が休載を定期的に繰り返しているからである。
休載の理由がどんなものであれ、定められた連載ペースを出来るだけ維持するというのが第一線で活躍するプロの漫画家としての在るべき形だと、筆者は考えている。どれだけその作品が面白いものであっても、何の対策もせず読者の期待を裏切り続けるのは作者がやっていい行為とは思えないのである。
例え世間に認められる程の面白さは無くとも、ファンの為に定期的に作品を出し続ける姿勢を見せるだけで、少なくとも筆者はその作者に好感が持てるし応援したくなるのが人情というものである。
上記の例は商業での話になるが、個人的には同人でも同じだと思っている。作品の質は兎も角、継続的に発表し続けるというのは根気のいる事である。同人は商業と違い具体的な締切が無いのだから、最終的に追い込みをかけられるのはその作り手自身だけである。営利的な追い込み以外で自分自身にプレッシャーをかけられるというのは、一種の才能である。
筆者にとって、作品を継続的にリリース出来るクリエイターというのは応援のし甲斐がある、というきらいがある。その作品が良いと感じた時に次作も見たいと思うのは、受け手の自然な感情である。継続的に作品を出すという事は、少なくとも受け手の期待に応えようとする姿勢の現れだと思っている。そういう部分を大事に出来る作り手に、つい惹きつけられてしまうのである。
どうせそのクリエイターを応援するなら、出来るだけ長く活動して貰った方が良いという打算的な気持ちも正直ある。いずれにしても全てのクリエイターを等しく応援出来ない以上、其処に何かしらの基準やフィルターが出てくるのは当たり前の事である。そして、少なくとも筆者が応援しているクリエイター達には、頑張って生き延びて貰いたいと願わずにはいられない。