最近、AmazonPrimeVideoでコードギアス劇場総集編3部作を観たのでその感想を纏めたいと思う。結論から言ってとても面白かったし、まだ観ていないのならば是非観るべきである。
元々、筆者はアニメの総集編映画は好きではない。新規シーンを多少追加した程度ならBlu-rayボックスでも買った方がマシとしか思えないからである。しかし、今回のコードギアスの映画に関しては、認めてもいいと思うほどに出来が良かったというか価値があったと思う。
まず、単純に観ていて最後迄飽きなかった。TVシリーズを観てからそれなりの時間は経っているものの、おおよその物語の流れは頭に入っている。勿論作品の出来が良いのは言わずもがなであるが、それを出来るだけ損なわないようにしながらも、ただの総集編にならないような工夫が随所にされているのが理解出来た。
第1部 興道
マオが出てくる話がカットされているので、シャーリーの物語における立ち位置も微妙に変わっている事に驚かされた。此処はかなり大胆なアレンジである。また、リフレインや黒の騎士団の初陣の話なども出てこないので、より本筋がスムーズに進むような運びとなっている。さらにシュナイゼルやアーニャなど、R2で主に登場する人物達の出番が用意されているので、TVシリーズよりも1つの物語として体感することが出来るようになっている。
また、台詞も全て新規に収録されているので、よりキャラクターが確立された状態での演技を楽しめるようになっている。例えば、ゼロが初めてレジスタンス時代のカレン達の前で喋る時の演技が、TVシリーズのそれよりはっきり変わっていて、我々にはお馴染みとなっている方のゼロの喋り方となっている。
第2部 叛道
無印の第25話とR2の第1話の間に起こったであろうシーンが新たに挿入されていたり、R2のほぼ前半にあたる部分がスザクの視点から新たに描かれている等、引き続き大きなアレンジがされている。これによりR2におけるスザクの考えや行動がかなり分かりやすくなっており、一度TVシリーズを見た人でも新鮮な気持ちで楽しめるようになっている。但し、そのお陰で一部の登場人物の出番が少なくなっていたり、本筋に関わらない範囲で作中の出来事の仔細がTVシリーズと違っている部分もある。
第3部 皇道
本筋における変更点はないものの、戦闘シーンなどに使われているエフェクトがより洗練されていたり、細かな台詞のアレンジにより其処に込められたニュアンスや意図がより分かりやすくなっている。そしてラストシーンが変更されたことにより「その後」に続くような形となっている。
第3部で使われているオープニングテーマ、 Survive Said The Prophet の「NE:ONE 」が、とても良かった。個人的にはFLOWの「COLORES」「WORLD END」に匹敵するくらいの良さだと思っている。世界を変える為に最後迄闘ったルルーシュの生き様や葛藤などが、見事に表現されている曲である。また、これからの活躍が期待出来そうなロックバンドとして、非常に注目している。
一応、今回の作品は総集編という枠組みではあるものの、「その後」に繋がるように意図されているのは間違いないだろう。どのシーンや台詞を削るか活かすか、勿論観る人によって不満や期待はあるかもしれないが、筆者としては結果的に楽しむことが出来たので「あり」だと思っている。勿論、元のTVシリーズも楽しめる要素がふんだんにあるし、どちらが優れているとか正しいとかの議論は些か的外れであると思う。
いずれにせよ、コードギアスという作品を新たに楽しむ為の扉が増えたのは、紛れもない事実である。そして、この素晴らしい作品の魅力を再び再確認する事が出来るだけでも、今回の総集編には意味があるのは間違いだろう。