ユヅへの誓い、それが珠彦のbattle cry。大正処女御伽話を読んでみた!!!

第二十三話「秋ノ処女達」(初出:ジャンプSQ. 2016年11月号)
珠子に綾の弟達も加わり、珠彦とユヅの家は賑やかなものとなっていた。そして、綾も帰ってきたのをきっかけに、彼等は村の秘湯へと繰り出す。

第二十四話「長月、夕月ト語ル」(初出:ジャンプSQ. 2016年11月号)
2週間遅れだが、珠彦の誕生日会が行われた。その後、久しぶりにユヅと二人っきりになる機会を得た珠彦は、彼女に自身のこれからの抱負を打ち明ける。

第二十五話「Believe me」(初出:ジャンプSQ. 2016年12月号)
珠彦は入学試験に挑む為に、時間を割いて必死に勉強していた。そんな折、世間で注目を浴びる白鳥ことりのゲリラライブに、珠彦は、ユヅと珠子に連れられて観に行くことになる。

第二十六話「珠子ノ憂鬱」(初出:ジャンプSQ. 2017年1月号)
珠彦は自らの合否結果が気になり上の空の様子。一方、珠子も物思いに耽る余り、料理中に手を火傷してしまい・・・。

第二十七話「珠彦 学校ヘ」(初出:ジャンプSQ. 2017年2月号)
珠彦の学校生活が始まったものの、周囲と打ち解けることが出来ずにいた。しかし、同じ時期に転校してきた白鳥ことりの双子の兄、策は彼と対照的にクラスでの人気者になる。しかし、策は珠彦の様子をどこか気にしていて・・・。

第二十八話「ユヅノ戀愛指南」(初出:ジャンプSQ. 2017年3月号)
ユヅと珠彦の家に、白鳥兄妹がやってきた。ことりは、ユヅと珠彦に戀愛についてを教えてほしいと言う。

第二十九話「策トコトリ」(初出:ジャンプSQ. 2017年3月号)
珠彦の前で喧嘩を始めてしまう、ことりと策。2人の仲が良くならない原因、それは策が幼い頃に患った病気が元で音楽を辞めてしまったことに起因していた。

第三十話「十二月三十一日②」(初出:ジャンプSQ. 2017年4月号)
長男珠樹の葬式後、珠彦は父から思いもよらぬ言葉をかけられ驚く。そして十二月三十一日、ユヅの誕生日に珠彦は彼女にプレゼントを渡す。

愈々4巻目を迎え、脂が乗ってきた大正処女御伽話。前回の関東大震災を経て、より絆の深まった珠彦とユヅを中心にしつつ、珠子や綾に新キャラの白鳥兄妹を交えて、物語が進んでいく。シリアスな展開を抜けて、本筋を進めつつも他の登場人物にも焦点が当てられた奥行きある運びとなっている。

今回のハイライトを挙げるなら、やはり白鳥兄妹の登場は必須である。妹のことりが先に登場した時は、その時限りの出番かと思われた。しかし、兄である策の登場により、珠彦とユヅ達に関わりを持つことが明らかになるのである。

この記事を書くにあたって、筆者は何回か再読した時に初めて気付いたことがあった。それは、白鳥策が珠彦のように友人の居ない孤独を抱えていたかもしれない、ということである。

転校初日、珠彦とは対照的に策の周りには同級生達が集まっていた。策に話しかける同級生達の言葉には、必ず「ことりちゃん」の名前が伴っていた。そして、そんな彼等の言葉を浴びる策の表情は、取り繕われたもののようであった。策かには、自分をことりの付属物程度にしか思っていないような、人間達の態度が透けて見えていたのかもしれない。

それから策が、時々物陰から珠彦を見ていたのも、彼が自分と似たような孤独を抱えていることに気付いていたからではないのだろうか。後に策が珠彦に「初めての友達」と言ったのも、そういうことなのだろう。共に妹が居ることや絵が下手くそなことも含め、珠彦と策は似た者同士なのかもしれない。

第三十話を初読した人が最後の1頁の、最後の1コマに度肝を抜かされたことは予想に難くない。筆者も雑誌で読んだ時に、ユヅが置手紙を残してさよならを告げるという展開に、只々驚くしかなかったのである。御伽話の終わりは、すぐ其処迄迫っている。

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