本来なら2020年5月2日から5日迄開催される筈だった、コミックマーケット98が中止になるという発表が、準備会の公式Twitterから発表された。今回の件について、筆者が思ったことを簡単に綴りたいと思う。
正直に言って、コミックマーケット98(以下コミケ)が予定通り開催されようがされまいが、ある意味そこはどうでもいいという気持ちがあった。筆者が今回のコミケに参加しないという事情もあるのだが、それ以上に今のコミケというものに対して自分の中で懐疑的なものを抱いているからである。これに関しては、以前書いた記事も併せて読んで貰えれば幸いである。
筆者の現時点でのコミケに対するスタンスは、どちらかと言えば否定的なものに近い。その立場から言わせて貰えるならば、今回のコミケ開催に伴うネットでの意見たちには、筆者を非常にがっかりさせるものがあった。ネット上の意見が全てだとは思わないし、全ての意見を網羅しているとは言えないが、それでも落胆の2文字を素直に飲み込むことが出来なかった。
筆者としてはこのツイートが印象に残っている。もし、上記のような考え方がコミケに関わる全ての人間にはびこっているとしたら、いっそコミケは本当に一度潰れた方がいいとさえ思ってしまった。
筆者が件のツイートを読んで素直に感じたことは、「コミケを開催するという手段自体を目的化してしまっている」である。本当に大事なことは、ただコミケを開催することではなく、コミケに込められた理念や理想をどんな形でもあっても、臨機応変に対応しながら実現させることなのではないだろうか。
個人的には今のコミケには元々の理念や理想よりも、金儲けのための集金イベントめいた匂いを感じている。それを増長させているのは、既に独自の集客力や実力を持ちながら、わざと同人という建前だけを利用しているプロのクリエイターたちの一部だと思っている。クリエイターが自らの生活の為に、お金を稼ぐこと自体を筆者は否定しない。寧ろもっと積極的に活動すべきだと思っている。だが、コミケの理念とやらに従うならば、そこはお金を儲ける場所にはならない筈である。もっと然るべき場所で、堂々とお金儲けをすればいい。
そういう理念を殺して形骸化されたコミケを望むような連中達が、件のようなツイートを支持しているとすれば、筆者はいっそコミケというイベントそのものに憐みを抱いてしまうだろう。
だが、今回の件で筆者は自らの知識不足を、改めて痛感させられたりもした。色々な真偽不明の情報が錯綜して、自ら判断することの難しさに直面することも多々あり、それが悔しかった。それに自分の主張を述べる以上、今以上に調べなければならないことも出てきたので、やはり精進しなければならないだろう。
今迄コミケは自分に関係ないものだと思っていたが、自分が嗜んでいる漫画やエロゲの作り手が関わっている以上、無視出来ないイベントになっている。もしかしたら筆者の主張も時間を経て変わるかもしれない。いずれにせよ、筆者はこれからもコミケの動きには注視するつもりである。