アマツツミ全クリしたけどさ・・・・・・、エロゲって面白れぇじゃん!!!

 Purple softwareのアマツツミは、筆者のそれまでのエロゲのイメージを完全にぶっ壊した。筆者はエロゲを何処か見下していたことを、後悔する羽目になってしまったのだ。筆者はそれまでエロゲをプレイした事は一度も無い。せいぜいYouTubeで素人による体験版の実況動画を見たくらいである。だから、実際に新品の製品版を買って最初から最後まで遊び倒したのは、アマツツミが始めてである。アマツツミの何処が面白いのか、それは人によって異なるだろうが、筆者が一番魅力を感じたのはやはりそのストーリーである。

 アマツツミの粗筋は公式サイトを見れば分かるが、敢えて筆者自身の言葉で纏めるとするならば、アマツツミは「主人公の誠が神から人間に成ろうとする物語」である。誠や恋塚愛は言霊使いであり一般社会のそれとは違う生活を送ってきたせいか、その雰囲気や立ち振る舞いが何処か普通とは違うことを、度々周りの人々に指摘される。誠や愛自身達も、自分達は神の末裔であり普通の人々とは異なる世界を生きていると最初は考えている。

 筆者はアマツツミをプレイしている最中でも、誠や愛が自分達を神の末裔であると自認することに違和感を覚えていた。確かに彼等が普通の人々とは異なり、人の意思や行動に干渉出来る言霊を使えるのは明らかな違いではある。しかし、それだけなのである。言霊を使えるか否か、その違いさえ除けば他は別段同じなのだ。お腹は減るし、眠くなる時だってある普通の人間の特徴をちゃんと持っている。だから物語が進む中で、誠は世の中には言霊でもどうしようもない事があるというのを知ることになる。誠の、自分は神に近い存在で言霊さえ使えばどうとでもなるというある種の自信が崩れていくのである。それでも誠は自分の出来る範囲の中で、目の前の問題を解決しようと模索していくのである。誠が自らの限界を認め、それでも諦めずに行動する姿に筆者が魅力を感じたのは言うまでもない。

 また、誠が少しずつ人間的な情緒を得ていくのも注目すべき所だろう。誠が暮らしていた里では必要な時以外の会話が協力避けられていた為か、彼自身表情が乏しく何処か人間味に欠けていた。また登場人物との会話においても冗談をそのまま受け取ってしまったり、ヒロインに真顔で美辞麗句を言って赤面させたりと、コミュニケーションの感覚が普通の人々とずれているのである。そんな誠も喫茶店おりがみや月乃宮学園での生活を通して、コミュニケーションの楽しさや難しさを知り表情豊かになっていくのである。

 そんな人間的に成長した誠も本編の終盤、具体的に言うとほたるルートのある場面である決断を下さなければいけなくなるのである。そしてその決断が物語の結末に大きな影響を与えるのである。自らの意思で生まれ育った里を飛び出した誠の、その行動が行き着く結果を読者にも是非プレイして知ってもらいたい。勿論、誠と深く付き合うことにもなるヒロイン達にも注目してほしい。彼女達のもまた読者を唸らせるには充分な魅力を持っているからである。

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