今回は響子ルートの13からエピローグ迄の感想を書いていく。
響子 13
言霊によって一時的に霊感を失った響子は、普通の人々と同じような生活を送れることに喜んでいた。しかし、そんな彼女の想いとは裏腹に奇妙な現象が起き始める。
響子 14
日曜、誠と響子はデートを楽しんでいたが、其処でも奇妙な現象に襲われる。誠は事態解決の為に言霊を解除しようとするも、響子に止められてしまう。
響子 15、16
連日起こる奇妙な現象は、誠にも襲いかかり始めていた。原因を突き止める為に、誠は響子と2人で翌日折り紙に行くことを決める。
響子 17、エピローグ
ぼろぼろになりながらも、何とか折り紙に着いた誠と響子。愛の叱咤激励もあり覚悟を決めた2人は、言霊を解除し霊感を受け入れた。すると・・・。
響子ルートの尺はこころのそれより若干短く、物足りなさもあったが概ね綺麗に纏まっていて良かったと思う。
響子は自らの霊感を封じてもらったものの、結果的に散々な目に遭ってしまい、命をも失いかけた。彼女は自分の力から逃げることは出来なかったのである。しかし最終的に彼女は、自らの持つ霊感を受け入れて生きることを決めた。
誠や愛とは違い、響子は今迄自分の霊感を受け入れる事が出来ずにいた。自分にしか見えない幽霊達に悩まされたり、周囲の人間からなかなか理解されないことも彼女に負の影響を与えていた。そして、親友の鈴夏を亡くした彼女は、人との関わり自体に消極的になってしまっていた。
だが、響子は誠と出会い少しずつ変わり始めた。こころや愛などの友人をつくり、鈴夏と向き合い自分の生に執着出来るようになったのである。彼女はかつて誠に、「自分はあの世に片足を突っ込んでいる」と言っていた。それは自身の霊感のことを指しているだけでなく、生きることを半ば放棄しているという意味も含まれていたのかもしれない。
とは言え、自分を変える、新しい自分になるというのは簡単なことではない。その難しさはこれを読んでいる貴方だって身に染みているだろう。響子は傍に誠が居たから、少しずつでも前に進むことが出来た。自分一人では難しくても、傍らに誰かが居れば可能性は少しでも高まるのかもしれない。
響子ルートでは鈴夏のように偶発的に生まれたしまった「命」や、響子を死に追いやろうとしていた悪霊のような存在、はたまた彼女を守ろうとする高位な霊と、人間の理を越えたものが出てくるのが面白かった。また、鈴夏が居なくなった後も、響子に直接触れることで誠にも一時的に霊感が備わるようになっているようである。もし、誠と響子の間に子供が出来たとしたら、その子にも何らかの力が宿るかもしれない。そうなると、響子ルートのエピローグ後でも話が作れそうであり見てみたいものである。
朝比奈響子、幽霊が視えて何処かずれているけど、聡明で真っ直ぐな芯をしっかり持っている女の子。亡くした親友の分迄生きることを決めた彼女なら、誠と共にまだ見ぬ未来に向かって、きっと進める筈である。